2025/03/11 16:32
当カタログのコラムでもご紹介させていただいた凡海さんについて
四国新聞で記事にされていましたので、以下記事を引用・紹介いたします。
観音寺市の仏師、凡海さん(83)=本名・荻田文昭=が釈迦像を制作し、インド北部のサールナートにある寺院に奉納する。彫り上げたのは、釈迦が最初の説法をした時の姿を現す「説法印」の木像。半世紀にわたって幾多の仏像を手がけてきたが、釈迦像は初めてで、「やりがいがあった」と充実感を漂わせる。開眼法要が凡海さんも出席して22日に現地で営まれる。
サールナートは、悟りを開いた釈迦が初めて説法をした初転法輪の地。凡海さんは、同地にある日本画家の野生司香雪(1885〜1973年、高松市出身)が描いた壁画の保全プロジェクトに協力した縁で2023年11月に同地の日月山法輪寺を訪問した。その際、まつられていた仏像を見て粗さが気になった。聞けば仏師が彫ったものではないとのことだった。
帰国後、同寺の住職に自身の作品集を送って「私が彫る仏像を奉納させてもらえないか」と打診したところ、日本では非常に珍しい説法印の釈迦像を彫ってほしいと依頼された。
説法印の印相(仏像の手のポーズ)をどんなものにするか決めるのに苦労し、関係者と入念に打ち合わせた。制作は昨年6月に取りかかり、8カ月かけて今年1月末に仕上がった。
完成した釈迦像は本体の高さが75センチ、台座も含めた総高が122センチ。「仏教の聖地の寺に自分の彫った仏像が祀られ、拝んでいただける。こんな光栄なことはない」と仏師冥利に尽きるという様子で、「説法印の釈迦像はこの地にぴったり。インドで仏教を布教しようと頑張っている人たちを少しでも応援できれば」と語る。
凡海さんは観音寺市本大町出身・在住。工房を同市高屋町に構える。2014年にはスペインの世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の大木に生木地蔵の観音菩薩像を彫った。海外への仏像の奉納は2体目となる。
四国新聞, 2025-03-11, 朝刊
